CONCEPT


ー「今、ここ」に生きている音楽作品をー

これまでの音楽活動の中で、森の中、水辺、里山など自然を感じる場所でのコンサートを好んで開催し、そこに棲む生物の存在を感じながら奏でてきました。生きているのは人間だけではなく、様々な生き物が居て成り立っていると感じさせてくれます。これを体験できるのは現場だけになりますが、私は作品として残したいと考えるようになりました。写真家は画像で、小説家は文章で、画家は絵画で作品を残すことができるように、音楽家としてこの場所で自然が奏でている音と、私が感じる音楽を組み合わせた作品をつくり、未来に残したいと思ったのです。

例えば日常で耳にする夏の虫の声は20年後、同じように聞けなくなるかもしれません。それが良いか悪いかは別として、その音の風景を残すことは今しかできないのです。だたの記録としての音ではなく、それを今生きる一人のアーティストの感性で作った音楽作品として残すことに意味があると考えています。

当たり前のように耳にしていた音に風情を感じ、価値のあるものとして捉えると、その環境をありがたく思ったり、その場所を訪れたことのない人が興味を持ったり、今を知らない未来の人々がこの時代のことを辿るきっかけになったり。

地球に命を授かった一人のアーティストとして、こうした作品を残すことが、私の生きる楽しみの一つとなりました。畑で土に触れたり、森や海で遊んだり、星空を眺めるだけで癒されるような感覚を音楽作品として残していきます。